御室流華道
仁和寺の文化活動のひとつに、「御室流華道」があります。仁和寺の門跡を家元に、華道を通して芸術と宗教による人格の形成をめざしています。
「御室流華道」その源流は9世紀末、仁和寺開創の宇多法皇までさかのぼります。
風雅をこよなく愛した法皇は、桜一枝を御室の醍醐帝に届け、いま一枝を御室の宝瓶に挿して、人心教化の一法として挿花の道を示したといわれます。
毎年5月には、流祖宇多法皇への献華式が寝殿で古式ゆかしく繰り広げられます。
生花と自由花・創作花
御室流華道のいけばなは、生花と自由花、創作花に大別されます
生花は、伝統的様式を伝えて、さまざまな決まりがある。その基本は、3本の役枝によって構成されます。役枝は、「体・相・用」(仏教で、人間の心に備わる3つのあり方をさす)と名づけられ、寸法や枝を曲げて形を整える時の角度などに厳密な決まりがあります。
これに対し、自由花(盛花と投入花)は、制約が少なく、私たちが日常目にする色鮮やかな草花を自由に使えるものとして生み出されました。これは、「体・相・用」の概念は共通するものの、役枝の使い方などはより自由で、花材の選択・取り合わせも生花とまったく異なるなど、生花と別の色彩豊かな世界を表現することが可能となります。
また、役枝を設けないさらに自由な生け花を、創作花と呼んでいます。
総本山仁和寺 旧御室御所・世界文化遺産
仁和寺の創建は平安時代、第58代光孝天が西山御願寺とし2て着工されたのに始まります。仁和4年(888)、宇多天皇が先帝のご意志を継がれ、仁和寺を完成されました。宇多天皇は、退位後、出家して仁和寺を住坊にされ、30余年もの間、真言密教の修行に励まれました。以来、明治維新まで皇子皇孫が仁和寺の門跡となられ、仁和寺は御室御所と呼ばれ、親しまれてきました。
広大な境内は、御室御所跡として史跡に指定され、国宝、重文の伽藍が配されています。宝物も国宝、重文を多く有し、また、御室流華道の家元として、いけばなを通じ、文化の向上にも貢献しています。
仁和寺は真言宗御室派の総本山であり、平成6年に国連の世界遺産に登録されました。
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